低温恒温水槽 ユニエースバス |
加熱したい
循環先の温度を室温以上に一定にするための装置を、温水循環装置と呼びます。
温水循環装置は冷凍機を持たないため、室温近辺や室温以下の温度調節は行なえませんが、室温以上の温度帯を恒常的に温調することができます。
例えば、水を流さずに放っておくと、室温との温度差による放熱によって温度が下がってしまうような場合など、温度が一定に保たれた温水を循環することができます。
温水循環装置で使用可能な循環液は原則、一般家庭で蛇口をひねれば出る「水道水」になります。
「シリコンオイル系熱媒体」「合成油」「純水」「超純水」などの特殊熱媒体は、特注にてお請けすることができますので、お問合せください。
温水循環装置の基本構成は、ヒータ、水槽、循環ポンプの3点になります、ヒータ容量に応じて水槽容量は大きくなりますが、冷却ができる冷凍機搭載品に比べコンパクトに設計することができます。ただし、循環先が発熱する負荷に対しては必ず冷凍機が搭載されたヒータ付チラーを選定してください。
ヒータ付チラー
加熱の温調をするためには加熱能力の計算が必要です。
※熱媒体(循環液)は、水とします。
加熱能力とは温水循環装置が被加熱物(室温以上の温度帯で一定にしたい物)をどの程度温めることができるかという目安になる重要な数値です。
通常W(ワット)で表します。ただ、kcal/hで計算した方がわかりやすいので、ここではkcal/hを採用して説明します。(1kW=860kcal/h)
この数値は容量はどの程度により、各種の条件が決まって算出されます。
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- 加熱媒体そのものを加熱するために必要な熱量 … Q₁
- 被加熱物を加熱するために必要な熱量 … Q₂
- 循環系で必要なポンプなど動力源(χkW)の発熱量 … Q₃
必要熱量=Q₁+Q₂-Q₃
Q₁ = (t2 - t1)×V×P×C1/H
Q₂ = (t2 - t1)×W×C2/H
Q₃ = 860×χ×0.5(効率)
t1 =設定温度(加熱後の温度)(℃)
t2 =初期の温度(加熱前の温度)(℃)
V =使用加熱熱媒体の容量(L)※温水循環装置HSシリーズの機種選定の場合、このVの値は循環先の熱交換部分を含めた容積に、配管容積、選定候補の温水循環装置の水槽容量(HS-1000型:4.7L、HS-1型:12L、HS-6・8型:30L、HS-12型:50L)を加算します。
P =使用加熱熱媒体の比重(水:1)
W =被加熱物の重量(Kg)
C1 =使用加熱熱媒体の比熱(水:1cal/g・℃)
C2 =被加熱物の比熱(cal/g・℃)
H =加熱時間(hour)
以上で得られた値に安全率(1.2~1.7)を掛けたものが求める熱量(kcal/h)です。
比熱SI単位系ではJ/kg・Kですが、計算簡略化のためにcal/g・℃を採用しました。(1J=0.239cal)
※ 一般的には安全率1.2~1.7程度が適当と思われますが、保温が不充分な場合には、より大きくとる必要があります。必要熱量が合計3500W程度以上であれば安全率1.2~1.3、3500W程度以下であれば安全率1.3~1.7程度みておけばよいでしょう。
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水の容量は仮にHS-1型を候補としたとして、配管容積+HS-1型水槽容積を全体で30Lとします。
抑えるのは、60→30℃まで1時間で放熱により冷却した熱容量以上の加温能力を与えればよいことになります。
鉄の比熱は0.11kcal/kg・℃で、それが1時間で30℃下がるためQ₂=(60-30)℃×70kg×0.11(kcal/kg・℃)/1h=231kcal/hの放熱量になります。
次に、水は比重1、比熱1ですからQ₁=(60-30)℃×30L×1×1/1h=900kcal/hとなります。
これに、安全率1.5として=(297+900)×1.5=1696.5kcal/h以上の加温能力が必要となります。
1kW=860kcal/hより、1696.5kcal/h=1.973kWですので
加温能力1.973kW以上の温水循環装置は2kw能力のHS-1型となります。

※ HS-1と非加熱物との間には、十分な熱交換があると仮定しています。
※ Q₃=(HS-1の循環ポンプは加熱側の要因なので、計算には入れていません。)
※ 温水循環装置HS型シリーズの温度調節精度は±3℃です(HS-1000型のみ±1.5℃)。
※ 温度調節時に±0.1℃台などの精密な温度調節をご所望される場合は、低温恒温水循環装置NCC型シリーズをご選定