ロータリーエバポレーターとは?
ロータリーエバポレーターの構造
各部の名称と役割

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ガラス容器内全体を減圧し、溶媒の沸点を下げる。
例えば水は、富士山の頂上で約87℃(3776m、約630hpa)で沸騰します。 - 2 回転する試料フラスコ内で加熱された液体は、蒸気として凝縮器へ流れて行きます。
- 3 冷却器内のパイプには冷却水が流れているため、蒸気が冷やされ液化して回収フラスコへ溜まります。
- 結果
- 受けフラスコに蒸留液、試料フラスコには濃縮物質が残ります。
- ※ 条件を整えれば試料の高度な分留、分離が可能です。
試料の沸点と冷却水の温度との差(ΔT)が15~20℃以上であること
(沸点は真空度によって変化する。ΔTは最低でも10℃以上必要)
試料の沸点と加温温度との差(Δt)が10~40℃であること
(Δtは最低でも10℃以上必要)があげられます。ΔTを大きく、Δtを小さくすれば、蒸発量は減少し、回収率はアップします。
ロータリーエバポレーターができること
- 濃縮
- 液体に含まれる成分を濃くしたい
- 分析の前処理
- 抽出溶媒の除去
- 試料の乾燥・脱水
- 分留・分離
- 蒸発成分と非蒸発成分に分けたい
- 混合溶媒の分離
- 蒸留
- 混合溶液の揮発度の差を利用して蒸発させ凝縮された液がほしい
- 溶媒の精製
ロータリーエバポレーター、ちょっと気になる疑問点
Qなぜ試料フラスコの回転(ロータリー)が必要なの?
フラスコ内の溶液は回転させることで内壁に薄く膜を作り、表面積が増えます。
さらに外側には温水の膜が形成され、フラスコ内に熱が伝わりやすくなります。そして、撹拌されることで突然の沸騰を防止します。

Qなぜ冷却器が必要なの?
1mLの水(液体)は水蒸気(気体)になると約1700mL(1700倍)の体積に膨張します。※
蒸発してエバポレーター内に充満した水蒸気は減圧装置では吸引しきれず、蒸発面にちょうど “蓋” をしたような状態になり、蒸発が抑えられてしまいます。「冷却器」で蒸気を冷やし、素早く液体に戻し体積を小さくすることで、次の蒸発を促すことが出来ます。
- ※エタノールの場合は約490倍
ロータリーエバポレーターの構成
基本の構成に様々な付加装置、オプションを加えることで多様なニーズにお応えできます。
ロータリーエバポレーターの機能・仕様の一覧はこちら

代表機種、N-1300型の機種選定、組合せガイド。
その他、多様なガラス、パーツ、配管類を用意しております。
多様な濃縮装置
従事されている分野やミッション、解決されたいテーマを考慮して、濃縮装置を選定してください。EYELAの濃縮装置は、ロータリーエバポレーター・少量濃縮装置・薄膜式エバポレーターの3カテゴリーです。ラボや製造工程のニーズをご考慮の上、充実ラインナップの中から最適機種購入をご検討ください。

- ロータリーエバポレーター

- 少量濃縮装置

- 薄膜式エバポレーター
ロータリーエバポレーターのシステム例
以下は一例ですが、総合カタログでは多様なニーズに合わせたシステム例を紹介しております。
また、破損時に、ガラスの飛散を抑えるコーティング(アイラコート)を施したガラスパーツも多数ご用意させていただいております。
安全機能を多く搭載
型式 | 数量 | 製品コードNo. | 価格 (税別) |
小計価格 (税別) |
---|---|---|---|---|
275340 | ||||
268450 | ||||
261800 | ||||
271180 | ||||
269460 | ||||
269470 | ||||
269620 | ||||
270740 | ||||
112700 | ||||
119170 | ||||
263500 | ||||
282130 |
製品名 |
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ロータリーエバポレーター |
小型冷却水循環装置 |
ダイヤフラム型 真空ポンプ |
濃縮装置用溶媒回収ユニット |
NVC通信ケーブル |
NVC通信ケーブル |
NVC通信用分岐ボックス |
結露対策カバー |
保冷ホースセット 2m 内径9mm |
真空ホース 6×15mm |
ナイブライン ® Z-1型 4kg |
ノズル結露対策カバー |
必要コンセント数 3口
メンテナンス方法
ロータリーエバポレーターの使用前の点検や定期メンテナンスは性能と寿命を維持するために欠かせません。具体的な点検とメンテナンス方法をご案内いたします。
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使用前のチェック 使用する前に、ガラス部が破損していないか、試料フラスコとロータリージョイントを固定するアイラクリップが割れていないかチェックしてください。バスの水または油の容量は適切で、真空および冷却水配管が正しく接続され、ひび割れなど無いかを確認してください。冷却水配管のノズル部分から液漏れがないかチェックしてくさい。
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各部の清掃 ガラス部等を柔らかい布で拭き、接合部に少量の真空グリースを塗布します。(真空グリス成分が混入する可能性を考慮してください)使用後はふたたび真空グリスを塗って、固着がおこらないようにします。
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駆動部 電源スイッチを入れRUN/STOPキーをONした場合、回転駆動部が低速から高速までスムーズに回るか、異音や偏芯などが無いか確認してください。ジャッキは、スムーズな昇降ができる事、干渉が無い事。実験開始直前では、回転する試料フラスコが浸かり、設定温度での膨張した状態でもバスの液体がこぼれない事を確認してください。
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使用後の清掃 使用後は柔らかい布で装置の表面に残った油汚れや溶剤をきれいにし、清潔に保ちます。ガラス容器は、お客様の容器洗浄規定にて洗浄願います。
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真空漏れの点検 接続部を取り外し、汚れを確認して柔らかい布で拭き取り、少量の真空グリースを塗布します。定期的にローターを回転させたままで真空漏れを確認します。固着していた場合は、耐熱手袋とホットガン(ドライヤーでも可)をご用意いただき、摺合せ部を温めて、固着した溶媒やグリースを溶かして外してください。
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電気部品の保護 電気部品は水分が入らないよう注意し、特に配線接合部の水分は厳禁です。冷水配管は水滴が付きやすいので十分配管と配線の距離をとって配置します。
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純正部品の使用 純正の部品を使用してください。他社の部品と混ぜて使用すると機械に致命的な損傷を与える可能性があります。
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定期的な点検と修理 当社では定期点検やバリデーションで装置の性能の確認、修理のサービスがございます。
これらの手順を遵守することで、ロータリーエバポレーターの性能と寿命が向上し、安全な運用が可能になります。また、定期的な清掃と点検は、装置の故障や不具合を未然に防ぐためにも重要です。
安全性
ロータリーエバポレーターは、化学実験で溶媒を効率的に蒸発、分離、濃縮させるための装置ですが、安全性を確保するためにはいくつかの注意が必要です。個人用保護具(PPE)の着用は基本であり、特に安全メガネの使用が推奨されます。また、火傷や破裂の危険性があるため、冷却水やバスの温度管理、真空度の管理、回転する試料フラスコとの接触を避けることが重要です。さらに、有害な溶剤の揮発性に注意し、適切な換気を行うことが求められます。
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個人用保護具(PPE)の着用 装置を操作する際には、安全メガネやゴーグル、白衣またはエプロン、耐薬品性の手袋、つま先が覆われた靴を着用することが推奨されます。これにより、化学物質の飛沫や蒸気から身体を保護します。
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適切な換気 揮発性溶媒の蒸気を吸入するリスクを低減するために、排気フードを使用して有害な蒸気を捕捉し、排出することが重要です。実験室全体の換気を確保、さらにドラフトチャンバーに装置を設置することも推奨されます。
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設備の点検とメンテナンス 定期的にガラス製品やシールの状態を確認し、ひび割れや摩耗がないかチェックします。損傷した部品は速やかに交換し、真空ポンプのメンテナンスも行うことで、機器の故障を防ぎます。
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安全な操作手順 起動時にはすべての装置が正常に機能していることを確認し、バスの水または油の温度と水位を監視します。圧力調整は徐々に行い、急激な圧力変化による突然の蒸発を防ぎます(突沸防止に真空制御装置やトラップ球、突沸防止キャップがあります)。
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緊急事態への備え 定期的な安全訓練を実施し、従業員が緊急対応手順に精通していることを確認します。また、消火器や流出キットなどの緊急設備がすぐに利用できるように配置しておくことも大切です。
これらのガイドラインを遵守することで、ロータリーエバポレーターの安全な使用が可能となり、研究室での事故リスクを大幅に低減できます。
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