フリーズドライとは?
最近、フリーズドライの食品が大人気です。野菜チップや果物、インスタントみそ汁やスープ、料理用具材、さらには保存食まで。フリーズドライをそのまま訳せば「凍結乾燥」となります。
水分を含んだ食品や原料を凍らせ、凍った状態のまま水分を取り除き乾燥させれば、主要成分を残したままでフリーズドライ品が出来上がります。
医薬品や工業用の素材など幅広く凍結乾燥の技術は応用されており、さまざまな分野で欠かせないものとなっています。EYELAのフリーズドライ装置(凍結乾燥機:フリーズドライヤー)は、長年の開発・製造をもとに、さまざまな声、ご要望を反映して、現場の皆様にフィットする製品をお届けしております。
凍結乾燥のメリット
単なる大気圧下の蒸発による乾燥方法に比べると、凍結乾燥による昇華では以下のような多くの利点をもっています。
- 形質変化
- 凍結状態から昇華するので、容積や形状の変化なし
- 組織変化
- 成分の変化はほとんどなし、色・香り・味・栄養価も保持
- 乾燥状態
- 多孔質に乾燥するので、内部も充分に乾燥
- 保存性
- 低温・真空下での処理なので、酸化や雑菌による汚染がなく、長期保存が可能
- 復元性
- 多孔質の部分に水が入り復元・溶解性が良い
凍結乾燥の原理
凍結乾燥法は、試料中の水分を氷点(共晶点)以下で凍結させ、その状態のまま“昇華”によって水分を除去・乾燥させる方法です。
水は大気圧(1013hPa)の時100℃で沸騰しますが、圧力を下げることにより沸点が下がっていきます。123hPaまで圧力を下げると50℃で沸騰し、さらに、6.1hPaになると水は0℃で沸騰します。0℃は氷点でもありますので、水は“凍ったまま沸騰する”という状態になります。
一般の乾燥が液体から気体へ「蒸発」するのに対し、凍結乾燥は固体(氷)から気体(水蒸気)へ「昇華」する乾燥法です。昇華中の試料はマイナス30℃前後となります。
固体・液体・気体が共存する点を『三重点』と呼び温度0.01℃、圧力6.117hPaです。
大気圧下では固体(氷)⇔液体(水)⇔気体(水蒸気)と変化しますが、三重点以下の圧力では液体を経ずに固体から気体に変化(昇華)することがわかります。
凍結乾燥の工程
試料をあらかじめ凍らせる工程。
低温水槽またはフリーザーなどで試料を十分に凍らせます。一般的には-80~-30℃程度の温度で予備凍結します。凍結乾燥の成否を左右する重要な前処理工程です。
凍結した試料を高真空下で昇華乾燥させる工程。
最初は試料の表面から昇華が始まり、試料内部の乾燥した部分と未乾燥部分との境界で昇華が進みます。
時間をかけてゆっくりと昇華します。
一次乾燥させた後、乾燥の仕上げとして※結合水の除去を行なう工程。
この段階では試料を30℃前後まで加温し、一次乾燥と同様に高真空下で試料の乾燥具合を高めます。
- ※ 「結合水」とは物質に含まれている水のうち、構成分子と水素結合により結びついている水のこと。
凍結乾燥の構成
凍結乾燥機は4つの機器で構成されます。
昇華した水分が捕集されます。
他に、容器・アダプター・配管材などが必要です。用途に合わせ、希望の構成を自由に選択できます。
凍結乾燥機の選択ポイント
凍結乾燥機の構成を決める上で選択ポイントとなるのは、以下の3点です。
- 1試料の物性、形状、使用容器、処理量
試料が固形物か液体状か、腐食性、どのような容器に入れて凍結乾燥したいかなど、対象物・用途・処理量により試料を仕込む容器と数、容器や試料を仕掛ける機器(多枝管、ドライチャンバー)は変わります。物性によっては、特殊な真空ポンプの選択が必要です。
- 2除湿量
1回の凍結乾燥において、冷却トラップで氷結・捕集できる水分量のことで、トラップの形状や大きさに左右されます。許容量以上の水分を含んだ試料を仕掛けると、乾燥の時間が長くなり、仕上がりも悪くなったり、トラップで氷結・捕集できない水分は真空ポンプへ吸引され、オイル使用の真空ポンプはオイルの劣化など、ポンプ故障の原因となります。
- 3トラップ部の冷却温度
真空下で蒸気を捕集するためには、その真空度において気体の凝固点以下にトラップ部が冷却されている必要があります。一般的に、-45℃タイプと-80℃タイプがありますが、トラップ部の温度が低い方が昇華が促進されるため、より含水率の低い乾燥物が出来上がります。
凍結乾燥機の稼働には、本体以外に周辺機器やパーツが必要となりますので、トータルにご検討ください。EYELAは信頼性のシステムで、あらゆるラボや製造工程を力強くサポートいたします。総合カタログに組合わせガイドを掲載しておりますのでご参考にしてください。
環境にやさしいノンフロン冷媒使用製品(FDM-1010・2010)もご用意しております。地球温暖化対策に大きく貢献するノンフロン冷媒使用製品は、従来のフロン冷媒使用製品と異なりオゾン破壊係数 0で地球温暖化係数(GWP値) が極めて低く、フロン排出抑制法に伴う冷凍機搭載製品の簡易点検義務の適用外ですので、管理業務が不要となり廃棄時にかかる費用と手間がかかりません。
真空ポンプ選定ポイント
凍結乾燥では、昇華を進めるうえで、数Pa〜30Pa程度の真空度が必要となります。
油回転真空ポンプ | ドライ真空ポンプ | |
真空度 | 大気圧から数Paオーダーの高真空 | 大気圧から数Paオーダーの高真空 |
メンテナンス | 定期的なオイル交換が必要 | 3年に1度のメンテナンス |
価 格 | 導入費用が経済的 | オイルタイプと比べ高額 |
装置音 | 稼動時に低音 | 運転音45dBと静か |
電 源 | AC100V仕様、AC200V三相仕様を それぞれラインアップ |
AC100V、AC200Vどちらでも 使用できるワイド入力電源仕様 |
その他 | オイル蒸気による匂いあり | オイル交換不要 |
メリット | シンプルな構造で簡単に扱え、大きな排気速度を得られ大気圧から作動出来るポンプの中で最も排気効率が良い形式の真空ポンプです。導入コストも安く、幅広い分野で使用されています。 | 排気流路のシールにオイルを使用しない非接触型の真空ポンプです。オイルの逆流や拡散がなく、クリーンな真空が得られます。また、オイルの補充や交換などの定期メンテナンス不要で、取り扱いが容易な真空ポンプです。 |
型式 | 製品コードNo. | 価格(税別) |
---|---|---|
製品構成 | 特長 | 到達真空度Pa | 凍結乾燥時の真空度Pa | 排気速度(50/60Hz)L/min |
---|---|---|---|---|
油回転真空ポンプ | 価格が安価 ポンプパーツは酸、水の混入で錆や腐食が起こる オイルミストが周囲へ飛散 約250時間毎にオイル交換、廃棄が必要 |
0.67 | 3〜30 | 50/60 |
135/162 | ||||
200/240 | ||||
油回転真空ポンプ+オイルミストトラップ | 耐食処理ポンプ オイルミストの飛散防止 約250時間毎にオイル交換、廃棄が必要 |
50/60 | ||
135/162 | ||||
200/240 | ||||
油回転真空ポンプ+オイルミストトラップ+オイルフィルトレーション | 耐食処理ポンプ 価格が高額 オイルミストの飛散防止 フィルターでオイル中の水分・不純物を除去し、オイルを延命し性能維持、故障防止 フィルター交換で延長され、約500〜1000時間毎にカセット交換、再生必要 |
50/60 | ||
135/162 | ||||
200/240 | ||||
ドライ真空ポンプ | 価格が高額 オイルによる汚染が無い メンテナンスフリー(3年毎のオーバーホール費⽤は約30万円程度:お問合せ下さい) |
5 | 20 | 110 |
1 | 10 | 250 |
※ オイルフィルトレーションはポンプ内オイルの水分をろ過し、オイルを延命しポンプ性能維持、故障防止に役立ちます。
凍結乾燥データ・依頼試験
凍結乾燥機ご購入に際して、EYELAは実験データ公開だけでなく、依頼実験をお受けしております。現場の方はもちろん購買担当者の方にも納得していただくため、卓越した知見と実績を保有するEYELAだからできる事前のご確認です。
凍結乾燥機についての質問事例
Q凍結乾燥機について質問があるのですが?
よくあるご質問はこちら
凍結乾燥機のシステム例
以下は一例ですが、総合カタログでは多様なニーズに合わせたシステムを紹介しております。
凍結乾燥フルシステム
試料フラスコを予備凍結から凍結乾燥までできるフルシステム
型式 | 数量 | 製品コードNo. | 価格 (税別) |
小計価格 (税別) |
---|---|---|---|---|
275340 | ||||
268450 | ||||
261800 | ||||
271180 | ||||
269460 | ||||
269470 | ||||
269620 | ||||
270740 |
製品名 |
---|
凍結乾燥機 |
フラスコ用多岐管・TS29/38 |
試料フラスコ(JIS規格 TS29/38) |
真空ポンプ(PAT)オイルフィルトレーションカセット付 |
オイルミストトラップ・GCD-136XN・201XN型用 |
予備凍結槽 |
トラップモニタ |
プリフリーザー(試料容器回転装置) |
必要コンセント数 各1口/200V配電盤接続
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